園庭の奥に小高い雑木林があり、その麓に園舎が建つというロケーション。建築はその山に向けて扇型に開き園庭を包むようなフォルムで開放的なつくりが特徴的でした。
お施主様からは、園庭でこども達の演奏や発表会などができるステージや裸足で走りまわれる芝生が欲しいというご要望を伺いました。そして、何より印象的だったのは、遊具はいらない。奥の山を活かした自然を感じられる園庭にしたいということでした。
ステージは、丸太で土留めし土を盛り芝生にしました。芝生では走り回ることもでき、丸太は平均台代わりになりこども達の遊び場になります。そして、奥の雑木林との風景を繋げることを意識してステージの奥に芝生の小山をつくりました。登ったり走り下りたり、遊ぶこともできます。そこにはイチョウの木も植え、季節の発表会ごとにイチョウ表情は変わり、こども達の思い出と共に記憶に映ってくれると思います。
雑木の木立は、夏には涼しい木陰がつくられます。ステージの機能だけでなく自然の恵みを感じられる遊びの場にもなり、敷地条件と建物にも調和した「森のステージ」ができたと思います。
園庭の植栽計画は芝生を中心に雑木の木立を点在させるようにしています。一つの木立をみれば、木々が健康的に生息するように、階層的に密植混色するようにし自然の山の植生に倣って樹種や配置を決めています。通気浸透水脈改善も合わせて行い、作り込む植栽というよりは自然に近づけることを意識し植栽しました。健康的な木々があれば、自然の恵みを頂き、四季の移ろいを感じられます。
写真1〜3枚目:撮影/澤田 忍 ©建築資料研究社 季刊『庭』