コナラとモミジの掘り取りから想うこと・・・見えない土の中をデザインすることが大切。
コナラとモミジが隣り合う樹木の撤去をしていると図鑑で見たような根の張り方に出会いました。
黄色いマーカーがコナラの根、赤いマーカーがモミジの根になります。
お互いの根が絡み合い、モミジの根の下にコナラの根が張ることからコナラは根を深く張り、モミジは浅いところで根を張るのが写真から読み取れると思います。
根を張ることによって、土の中では空気と水が通るようになります。土は通気が良くなれば目に見えないような微生物や菌糸の住処も増え、土は団粒化が進み更に樹木の根も伸びやすくなります。一気にプラスの連鎖へと動いていきます。
コナラはモミジより成長は早く、素早く根を深く伸ばし土壌を改良してくれ、縦方向に動脈的な水脈を担ってくれています。
モミジは地上付近で根を細かく草の根のように張ります。表層で通気浸透の役割を担ってくれているのがわかると思います。
表層の通気も大切になります。地上付近に根がないと、表層が膜を張るように土が締まりだし、いくら深いところの通気が良くても雨は浸み込んでいかずいずれ、土は締まって硬くなってしまいます。地上から深いところまで根が張るコナラの根もモミジの根も共に大切になります。片方だけでは不十分であり、お互いが相互作用をもたらしながら生息しているのが自然環境だと思います。
これが、1本で植えたり、単一植物だけでは根の張りが不十分で土壌環境は中々改善されてきません。 だから、ナインスケッチでは、植栽するときには、寄せ植えして、色々な樹種を混植することにしています。
見えない土の中もデザインする必要があるのです。
根を張り巡らさせ、通気浸透を良くさせることで、木々は健やかに育つことができます。植栽するには、他の樹木の力も借りないといけないということです。単純に土壌改良をするだけでは不十分なのです。根の張りが一様に広がらず、いずれは、土壌改良したふかふかの土も周りの人工構造物などの圧によって土は締まり、乾燥したり、水はけが悪くなるなど負の連鎖に陥ってきます。
土の環境が良くなれば、木々は健康的に育ってきます。逆からも言えます。木々があるから根を張り土中の通気が良くなってきます。土の環境と動植物の環境と空気や水の気象の環境、全てが絡み合って成り立っているのが自然環境です。この辺りの自然環境をデザインして庭や外構などを作ることで、本当に心地よい住まいが実現できると思います。
まずは、自然環境を整えることが大切でそれから人がやりたいことをあたがっていった方が結局は心地よい住まいが作れると思います。人都合や見た目が先行してしまうと、後々管理も大変になってしまいますしね。
見えない空気をどうデザインするかが大切で、これができれば自然も人も共存できる空間になってくると思います。