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外構計画をする上で大切にしていること 〜SN Design Architectsさんの施工をさせていただいて〜

002_DSF1189©︎中川敦玲
僕のいるこの業界は側から見れば、外構と造園も外回りを設計や工事をする業者として同じように思われることもあります。しかし、内部から見ると外構と造園を分けて考えたり、外構だけ見ても外構とエクステリアと分けたり、造園においても庭を作る、植栽の手入れだけをする、石積みに特化した職人などなど、細かく分けたりもすることがあります。
何を言いたいかと言うと、僕は、そこら辺をあまり棲み分けずに仕事をしていきたいと思っています。

雑木の庭や大地の再生の活動を発信していると、人工的な空間を否定していると思われがちになってきますが、決してそうではありません。コンクリートやアスファルトは今の社会には欠かせないものですし、普段の仕事でも提案し施工することももちろんあります。

外構のプラン、デザインを考えていく上で、大切にしていることは、建物との調和やそこの敷地条件にならうことを心掛けています。決して、外構単独で考えないこと。どんなデザインを外構で計画していくと建物と調和が取れるのか、どの程度外構で足していくというか、言葉が難しいですが、より建物の佇まいが良くなったり、心地よい住まいになるのかを考えていきます。要は、外構が主張しすぎてもいけないと思います。特にエクステリアメーカーの商品を最初から取り入れること、その商品の組み合わせで計画していくと外構が目立ちすぎてしまったり、どこも似たような現場になってしまいます。まずは、その建物や敷地に対してどんなデザインを組み合わせいくといいのかを考え、それがエクステリア商品で賄えるのであればそれを使えばいいと思います。大切なのは、やっぱり素材から考えて、その建物や敷地から感じるものを大切に何がどこにどの位の大きさや色や質感などがあったらいいのか、必要なのかを考えるようにしています。

また、植栽は欠かせないものだと思っております。建築では中々表現が難しい、動きや立体感や奥行き感、光や影なども演出でき、風も感じることもでき、住む人や街に潤いと癒しを与え、豊かな暮らしができるからです。

今回紹介させていただくのは、SN Design Architectsさんが設計監理案件の外回りの設計施工をさせて頂きました。どんな想いでプランニング、デザインし、施工したかを少し紹介できたらと思います。
003_DSF1277©︎中川敦玲
SN Design Architectsの佐野さんからご依頼を頂いたのですが、敷地条件やお施主様の要望を伺い、試行錯誤してこの建物になった経緯を聞かせてもらいました。外回りの要望は車の配置や、植栽のローメンテナンス希望など、大まかな依頼内容で、細かくここをこうして欲しいなどはなく、まずはこちらの自由にプランできるように気を遣って頂いた有難い内容でした。

建物のフォルムはスクエアで道路面は窓も少なく壁面が印象的で庇と玄関ポーチの横の水平ラインが特徴的に読み取れます。敷地形状は、高低差はなく、道路側境界ラインが長く長方形な形です。また、建物の配置は道路から比較的近くも感じられます。

上記のことを考えて、敷地に対して道路平行に細長い鉄平石と深岩石をボーダー状に敷き、敷地の間口の長さと建物の庇や跳出しポーチの横広がりに合わせてみました。また、H鋼オブジェを庇と似た色で据付け、より、建物との調和を考えてみました。
008_DSF1199©︎中川敦玲
植栽は玄関挟んで左右に配置し、向かって右側の植栽スペースには気を遣ったつもりです。このスペースがもう少し玄関に寄ってしまうと建物より主張し過ぎてしまうのではないかと感じます。また、道路から玄関までもそこまで長く無いので、玄関前は横に広がりを持たせたアプローチの方がゆったりと建物のボリュームとも合ってくると思います。樹木の高さは、建物の外壁面の大きさから考えてもこの位あってもいいと思います。これより低いと植栽が弱く感じてしまうのではないかと思います。
015_DSF1255©︎中川敦玲

また、植栽の考え方については、心地よい住まいの実現と、しっかりと自然の恵みを感じられるためには、見た目を優先するのではなく、まずは、木々が健康的に生育していくことを考えて、樹種の組み合わせをしました。木々が健康的に生育することでやっと人に対して恵みを分けてくれるものだと思っています。木々が傷んだりすると病害虫が増えたりしてかえって厄介者になったりして不快に感じてきてしまいます。基本は、高木から下草まで階層的にし寄せて植え付けし、お互い守り合うような環境を作ってあげることが大切かなと思っています。自然の山を見ても、木が1本単位で生息しているところはありません。何本も寄り添って生息しています。高木は、日が無いと育ちにくい樹種ですが、中低木は高木が直射日光を遮った木漏れ日位の日照がいいのだと思います。植栽は、人の都合で植え付けるのではなく、自然にならって、樹種の選択や配置が大切だと思っています。

最後に外構を作る目的は何かと考えると、ただ単にアプローチや駐車場が欲しいというのではなく、使いやすかったり、心地よい住まいを求めて作るのだと思っています。外回りも住まいの一部であります。
住まいを外から考え、特に緑の力を活かした心地よい住まいができればいいと思っております。

コロナ渦で在宅勤務や家で過ごすことも増えてきました。外回りが充実していれば外出するまでもなく、十分に癒される暮らしが実現できると思います。
これからも、植栽など自然の恵みを感じられ、建物や敷地や街並みとの調和もとれ、使いやすさなど機能面も考慮し人工物も否定することなく、人と自然が共に豊かに暮らせるような住まいを外回りからご提案できればと思います。

最後に数枚、写真を載せさて頂きます。
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