雑木の庭の植栽の仕方 浜松モール街『Any エニィ』を通して・・・1
新しいコト・ヒト・価値が混じり合いあらたな「コト」が起こる場所として浜松の中心街モール街に『エニィ』が11月1日オープン致しました。当日は浜松市長や警察署長など行政や民間など浜松を代表される来賓の方々をも招いてのオープニングセレモニーが開かれ、ぼくも参加させてもらったのですが感慨深いセレモニーとなりました。
ナインスケッチは植栽工事をさせて頂いたのですが、人が集まる場所には緑が欠かせないと思っております。以前のブログでご紹介させて頂いたことがありますが、東京の目白にある徳川ヴィレッジは樹々が自宅の敷地を越え地域住民の共有物となっています。緑蔭が豊かでこの緑が地域住民や街をつなぐ役割を担ってくれています。
夏は木蔭があるところに自然に人は集まり会話が生まれます。緑蔭で休めば心落ち着き次ぎの行動へと意欲がでます。これが人工物の影では次の行動へはまだやることあるのか〜とモチベーションが下がることもあります。
街中の熱環境はコンクリートやアスファルトに覆われてこの輻射熱やエアコンの排熱などで灼熱地獄となっています。樹々には木蔭を造るだけでなく蒸散作用によって微気候改善し熱環境を緩和してくれます。
今では様々な研究結果によって緑は景観を良くするだけでなく感覚的な快適さの向上やNK細胞を活性化させたり、微気候改善するといった効果が発表されています。
しかし、これは単純に木があればいいものではありません。木が健康に育ってこそ、その効果が発揮されるものだと思います。ぶつ切りされた街路樹を見て、美しいと思うでしょうか?心落ち着くでしょうか?熱環境を改善してくれると思うでしょうか?今回の植栽計画は、緑が街や人をつなぎ、景観を良くし熱環境をも改善できるような街中緑化になって欲しいなという思いで施工させて頂きました。そんな役割を果たしてくれるためには樹々がただ単に植わっているのでは難しくなります。樹々が健康に生息してくれて初めて効果がでてくるものだとおもいます。そのための今回の対策をご紹介致します。
水脈通気改善
今回の植栽場所は既存のタイル部分をハツリ撤去し植栽マスを造ってきます。掘っても更に下にコンクリートが出てきて撤去出来ない箇所もあり、樹々にとってはコンクリートに囲まれた最悪の環境になります。悪環境では肥沃な土を入れ替えるだけではいずれ土中の空気と水が滞ってしまい土壌は呼吸できずに劣化し生き物が生育出来ない硬い土壌へと変わり果ててしまうことだと思います。まずは、1m程度堀り、そこから外周に溝を掘ります。その溝堀はエアースコップを入れ自然の風が何十年かけて土を削る様に硬いところは残り軟らかいところが削られ自然の水みちができるように掘ります。その溝に今度は縦穴を掘ります。土中に地形の高低差を付けて水が動く様にしていきます。水が動けば空気も動きます。空気が動くところに微生物や小動物が発生しやすくなり、彼らが健全な土壌を造ってくれそこに樹々の根が伸びやすくなります。ここで縦穴や横溝には有孔管を据えるのですが、その廻りには土木的には単粒の砂利をもどし透水シートを敷き土を戻していくところです。しかしそれではいずれ詰まってきます。長い間水と空気が通るように有孔管の廻りに枝と炭とゼオライトや現場ででたコンクリートガラなど有機物と無機物を混合して戻していきます。
土壌改良
そして、やっと土壌改良です。土壌改良には、堆肥と炭と有機性肥料とゼオライトを撹拌していきます。
土壌改良をするのは土を団粒構造にしていきたいからです。団粒構造の土には、樹木と共生している菌が住みやすくなります。その菌類が樹木が吸収することができない離れているところまで吸収してくれます。その菌が生息できるのは団粒構造の土であり空気が滞っていては死んでしまいます。だから水脈改善が大切になってきます。炭は微生物のすみかにもなりやすく土の団粒構造と似ている構造で排水性も保水性も良い材料です。土壌改良では一番の素材ではないでしょうか。ゼオライトについては以前のブログをご覧下さい。
植栽する前の大切な工事。大地を再生する矢野智徳さんの講座に出席し、千葉の高田造園設計事務所さんと一緒に仕事をさせてもらい、水脈の大切さを知ってしまったので逃げては通れませんでした。ここからやっと植栽ができます。ココがオープンした時だけでなくむしろその先何十年も樹々が健康に育ってくれるためには時間を費やさないといけないところであります。ここまでやってもしっかりと健康に樹々が生息してくれるか心配なところですが・・・。
長くなったので植栽の仕方については次回のブログで!
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