雑木の庭の手入れ講座
先日、NPOちば山の主催の『雑木の庭の手入れ講座』に参加してきました。講師は、もちろん雑木の庭の第一人者であ高田造園設計事務所の高田さんです。
写真は講座終盤のところ。内容が濃くつい聞入ってしまい冒頭の写真を取り忘れました。
今までの庭の手入れだと「この木はどの位の大きさにしましょうか。」というように現状維持のためにハサミを入れる認識が多かったと思います。完成された庭をいつまでも維持しようとすると木にはストレスがかかると言います。
雑木の庭では最初から全て形造るのではなく健康に育てて庭全体で改良しながらどんどんよくしていくことが大切です。手入れと植栽は一体で考えるもの。別物ではなく手入れで庭を造り直していくものです。と教わりました。どうしても植栽当初が美しくなるように植付けてしまいがちです。それも大切なことだと思いますが、管理の仕方と木の生命力で雑木の庭は植えたときよりもよくなります。そのためにも木を健康な状態にしてあげることの方が大切なことになります。
植栽時には、根の力で土の環境を改善する力が強いコナラやカシを配置することやアスファルトなどからの照り返し熱に強い樹種を配置し幹を守るようにすることなど考えなら植栽することが必要。それがまた最初は欲しいけど庭が成長したら必要でなくなる木や淘汰される木もあります。
そして管理では、木がストレスがかからないように人間がサポートすること。高田さんはこんなことも言いました。「植栽されたばかりの木は目の見えない方を連れてきたと思え」目が見えないから木は枝を伸ばしてこっちに何があるかなと探る。元気が無いから苦しいから暴れる。暴れた木も元気になると落ち着くものです。木には愛情を掛け毎日見て触ってあげることも大切。手入れをする度にますます健康になる庭、庭を育てることが楽しくなり、感動をもらえることがたくさんあるといいます。
手入れで大切なことは、雑木の庭ではその後、1年、2年、3年後とどんどんよくしていかなければならない。まずは、今の状態を見る。今何をすべきか、木は何を求めているのか、この環境で何に苦しんでいるのかを考え、しっかりと把握することが大切になります。そのためには庭全体を見て剪定しない木もあります。また枝葉を切るだけでなく追加的に土壌改良や通気性の改良、表土のマルチングも必要になってきます。例えば、休眠芽から出た胴吹きは人間にとっては見栄えが悪いもの。でも木にとっては自分で暑い太陽光から幹を守ろうとして出て来た必要なもの。人間が少し我慢をし、今は鬱陶しく感じるけど木が元気になるまで待ってあげる。そこでは、剪定はせずに根の改善に努めることがわかってきます。
竪穴を堀り不透水層を突き抜けて下の方から空気を入れてあげる。竹筒はいずれ亀裂が入って通気状態もよくなってきます。
今日、庭業界では雑木の庭ブームだと感じます。これを人気があるからとかただ単に雰囲気がいいからと安易に取入れて雑木の庭を造った当初から徐々に見劣りするようではいけませんね。手入れをせずに、植えただけではどんどん見劣りしていくはずです。そうするとやっぱり木は厄介なものか、木は無い方が良い。かつてのガーデニングブーム、コニファーブームのようにブームで過ぎ去ってしまうと思います。そうしてはいけません。雑木の庭、緑の力は私たちに五感を刺激し心安らぐ生活を提案してくれるものです。また、庭を育てていく過程では新しい発見をし感動をもらえるはずです。そのためにももっともっと木に触れ木が何を求めているのか感じとれるようになりたいと思います。