ボランツーリズム in 落合楼村上
NPOサプライズさんが主催の伊豆天城湯ヶ島温泉旅館『落合楼村上』さんでボランツーリズムに参加してきました。
落合楼村上さんは国登録有形文化財指定、良質の建材をふんだんに使った贅沢なつくり旅館になります。そんな、高級な旅館を掃除をしたら、その対価として1泊2食を体感できる(無料です。)という落合楼村上さんとNPOサプライズさんの粋なはからいにより始まった企画です。今回で4回目ということでした。
自分のお小遣いだと中々泊まれない旅館、掃除を通して昔の良質な建材や細工に生で触れることができることはぼくにとってはありがたいことです。清掃前に落合楼村上さんから建築のご説明が1時間程度ありました。
建築は、昭和の8年から12年まで5年掛けて施工されたそうです。
互い違いにクロスしている階段が特徴です。
ウズラの鳥の羽の模様に似ている『うずら木』という木目ができているということから、この材は屋久杉になるみたいです。今では、採れない建材。とても貴重な材料ですね。
長い廊下も印象的です。窓に使われているガラスは、手吹き円筒法で作られているガラスです。歪んで見えるのが特徴的なガラス。国内ではもう生産されていないそうです。オーナーの村上さんからは、「みなさんにもこのガラスを拭いてもらいます。もう手に入らないガラスです。(笑)」と笑いが起きました。
ここは、大広間。夜には、宴会をさせて頂いたところです。名前は、『紫檀の間』。床柱に使われている柱の紫檀からきています。この紫檀は、台湾から持ち込まれたそうです。表面は彫刻が施されていています。紫檀はカンナでも歯が立たない硬い木材でとても成長が遅い木です。100年で直径が3cmしか成長しない木材だそうです。そして、ここの「紫檀の間』は2階。下の宴会場と通し柱で繋がっています。とても貴重な材だということが分かります。
床の間の床板に使われているのは、ケヤキの1枚板、厚さは1寸。ケヤキと言う材は反りや曲がりが出やすい暴れやすい材質です。1枚板でこれだけの大きさで真っ平らになっているのがとても貴重で珍しいそうです。
職人さんに、どうやって製造したかを聞いたところ、厚く切り出してから、歪みが出たら削るとという作業を何度も繰り返して30年。一人の職人さんだけでは材料は完成しなかったことが多いはずです。昭和初期の職人さんは先輩方が作った材で家を建ててた。自分の生きている間に物事が完結することが少なかったはず。次の世代へ仕事を受け渡す、戦前の職人さんは、次の世代のために仕事をしていたんですね。今の時代は中々難しいところですね。
障子には、組子細工が色々な絵柄で各所に使われています。
組子細工の仕組みも説明して頂きました。
照明器具も今では見れないデザイン。
鉄で作られている、鉄瓦。とても、珍しいです。
一通り、案内をしてもらい、みんなで手分けして掃除です。昔の貴重な材に実際に触れられるのは、贅沢なことです。ただ、どれも貴重な材料。緊張しながら作業を進めます。
掃除が終わると、宴会の始まりです。ここからは、「お客様です。落合楼村上のおもてなしを堪能ください。」というオーナーの粋なはからいには感動致します。掃除だけで、温泉とお食事を頂けるのは、申し訳ないぐらいです。
2次会はラウンジで、オーナーの村上さんもご一緒してくれました。伊豆産のサツマイモで造られた『桂楓』の芋焼酎を頂きました。これ、おいしいです。参加者のみなさんと交流がもてるのもこのボランツーリズムの魅力になります。
翌日の朝、小雨が降る中、周辺を散策しました。
透き通る水が流れる川に橋。
雨で濡れたコケや石は風情が出ます。雨で良かったと感じる時です。
今回の、『ボランツーリズム in 落合楼村上』に始めて参加させて頂きました。すばらしい体験をさせて頂きました。掃除を通して良質な建材や細工に触れられ、その後にはここの旅館のおもてなしも堪能できる、そして参加者と交流が持てる。良い事ずくめでした。
NPOサプライズさん http://kage.i-ra.jp/
落合楼村上さん http://www.ochiairou.com/