大地の再生講座 〜森町で矢野智徳さんによる見立て〜
先日、広島から周智郡森町に移住してくる方の新しい住まいに矢野さんによる見立てに同行させて頂きました。
移住してくるご家族は、広島で大地の再生講座に参加されていました。
しばらく住んでいなかった住まいは、建物周りの林や庭が荒れてしまっていて今のままでは住みずらい状況を矢野さんによる大地の再生視点での改善を進めていきたいとのことで広島支部の京子さんとの連携で実現しました。
建物の裏には山を背負っており、素掘りで石積みの井戸も残ってもいて、水が豊富に常に湧き出ているところであります。
水が豊富に湧き出る地形部分である斜面変換線部分にU字溝を設置したりしてしまい、本来水と空気が循環しやすいところを塞いでしまい、空気が抜けず、降った雨も土中に浸み込まずに地表を流れ水だけでなく表土も流し斜面麓に泥アクを溜めてしまっています。長年放置され現状は、設置したU字溝も見えないくらいになってしまいました。住んでいた方も水の処理に悩まれていたと思います。
土中には、脈がありそこには水だけでなく空気も同時に流れています。空気が滞れば水も流れません。水が滞れば空気も滞る。逆に空気が抜ければ水も抜ける。水が抜ければ空気も抜ける。水と空気は常に一体で動いています。
また、自然は、ミクロもマクロも相似形です。自然災害と言われる土砂崩れも同じメカニズムで発生していると言っていいと思います。降水量が増え、下の方で空気が滞れば水の流れも止まり飽和状態がだんだん上へと積み重なり、耐えきれなくなり土砂が崩れる。根本的なところは、現代の土木には空気視点が欠けているところだと思います。土中には水だけでなく空気の対流があるという視点を広めていきたいですね。
しかし、悪い話ばかりでなく、水の透明度を見ても矢野さんからは、悪くはないですね。水が濁っていないということは緩やかに循環しているということですね。これだけの水が出るならいっそのこと、池にしてもいいんじゃないですか。という話も出ました。
泥さらいをし、斜面林の風通し剪定や伐採をし、地表と土中の空気を通せば見る見るうちに良くなってくるでしょう。
家の前には茶畑や田んぼ、更に奥は、川も流れていて生態系も豊かでとても良いところだと思います。
ここにこれから住まわれるお施主様が羨ましいですね。
続いて田んぼの循環です。
崩壊していた畔の修繕をする矢野さん。
田んぼの入りと出をうまくつないであげる必要がある。
表層の水が動いてくれれば、深いところまで空気と水が対流しやすくなる。そうすると、稲の土の中の根が呼吸しやすくなるするようになる。土の中の淀みやガスがちゃんと上の方に流れてもくる。
稲の根の周りの土の空気が地上の空気と水の動きに引っ張れて循環するようになり、根の張りが良くなってくる。
土が硬くなる状態は陸の環境である。土が締まって、水が持ち上げられている状態でそれは、水があっても陸辺状態になり雑草が増えてくる。そうすると、除草剤をまかないと追いつかなくなってしまう。土が水に持ち上げられる水辺環境を作れば陸辺の草は生えなくなる。
稲にあった空気循環を入りと出で調整すれば、それだけで稲が育つと話てくれました。
田んぼは空気循環を学ぶにはとても良い教材ですね。
育てたい作物にあった空気循環を作ってあげるだけでいいのかもしれませんね。
これから、機会が合えばお施主様と改善できればと思います。
きっと目に見えて変化する心地よい住まいになることだと思います。
この後、菊川市の和田公園に移動し、たくさんのコアな地元メンバーと矢野さんによる見立てになります。また、次の機会に報告いたします。