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木と人 生き物と大地、共に生きる未来 〜高田造園設計事務所〜

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先日、千葉県千葉市美浜区にある『cafeどんぐりの木』で開催された高田造園設計事務所の高田さんが講師『木と人 生き物と大地、共に生きる未来』の講演会に出席してきました。
冒頭に高田さんから、「造園業を通して木の力を使って住まいの環境を改善していく造園を志してきました。その中で、人間が健康で元気をもらえる住環境とはどんなものだろうかと追求してきた結果それは、生き物や木にとっても健康な住環境であると行き着いた。これからは、健康な自然環境を整えることが究極の役割だと考えながら最近は仕事をするようにしています。」そんな話しから始まりました。下記にレポートとして簡単にまとめます。

自然界が健康であるためには不可欠な大地の中の見えない部分の空気と水の流れ、水脈について考えていく必要があります。水脈は人間の血管みたいなもので人間は7割が水分でできていると言われています。大地も7割が水と考えても良い。川として目に見える水はほんの一部で水は大地の血管を通して地上や地下を行き来しています。水が動けば空気も動き、空気が入れば生き物も健康に育つようになります。だから水脈が健全であることがとても大切であります。しかし、現代の土木は表面的な水の流れしか考えず大切な地面の中の水と空気の流れを考えていないのです。コンクリートで固めたり土留めをしたりして水脈を潰してしまっています。
そんな今日、庭に樹々を植栽する時も土壌改良だけでは通用しない現場もあります。何回植え替えても枯れてしまう。それは水脈、通気の問題があると思います。通気が悪いと土の中に水は滞水し酸素が不足し土が青灰色になってしまい、入れ替えた良い土までもが悪くなってしまいます。そんな地面が呼吸出来ない環境では樹々も育つことができません。

高田造園設計事務所さんが施工したここ『cafeどんぐりの木』、植栽して4年が経った今、樹木が健康に育ってきていません。もちろん、自然の山のような樹種の組合せと植付け時の土壌改良はしっかりされているそうです。根が伸びることで土壌が改善され良好な水脈となっていくことがあるのですが、そのために根に力があるコナラを主木として植栽しています。しかしここでは、2、3年後から樹々は衰弱し土が硬くなり始めてきた。植栽時に良い土を入れ替えてもどんなに土壌改良をしても更にその下の土壌が悪く、水脈が途絶えていて通気不良であれば、入れ替えた土も悪くなってきてしまう。そうすると生育不良となってくる。『cafeどんぐりの木』では土中の水脈が主な原因だと予想されます。
木肌を見てもわかります。
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樹皮は老化しカビやコケが出始めています。いかにも肌がザラっと荒れてきています。木が苦しんでいる状態にみえます。
では、どうしたらいいのか?!この木1本をどう生かすかを考えるのではなく、これからは環境全体を考える視点が大切になってきます。
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今回の改善施工したことは、樹木の捕植に伴って下地を1m程度掘って通気浸透改善と、深さ1〜1.2m程度の竹筒を20カ所程度埋け込みその廻りに炭と腐葉土を戻します。
竹筒の下で地中の水分を集中させ毛細管現象による水が浸透していき途絶えていた水脈の断片を探し出します。そして、途絶えた水脈と合流し水脈が再生し始めます。土壌の通気の改善され、中まで酸素が動くようになり、生き物、微生物も動くようになります。これで、水脈が改善され空気が流れ土壌の健康が取り戻されることでしょう。

ここまでで講演のだいたい半分の内容です。その他に団粒構造など土壌の仕組みや昔と今の住まいと土壌環境の比較などたくさんの為になる内容でした。また、機会があれば報告しますが、自然に習って暮らしていた昔はうまく循環されていたことから考えると、今求められてることは自然界の動きや自然の感覚を取り戻さないといけないと思います。土や木など自然を知っていこういう見方を持って生きていくことが大切になってきますね。人間優先の考えでなく自然環境のことを考えていくことが必要です。先日の東京都国立市のさくらの街路樹撤去の話しでもそうですが、何かを建築したりする際、そこに木があれば撤去するという安易な考えでなく、何かを造るためにどちらかを選ぶのでなくそれぞれが共存できるような世の中になっていければ良いと思います。

難しい問題ですがこれからの造園はそういう役目があるのかもしれませんね。ぼくも少しずつですが、がんばっていこうと思います。
庭から自然を造り戻し、街、都市環境へと自然環境が健康になっていくような仕事に取り組めたらと思います。