浜松市長賞浜名湖花博2014

静岡県浜松市で開催されて「浜名湖花博2014」にて、わたしたちが庭園コンテストに出展した作品「雑木の庭と共に暮らす」が、浜松市長賞を受賞しました。

前回の浜名湖花博から10年が経った2014年。震災を経験して、私たちの暮らしや自然、エネルギーに対する意識は変わってきました。住宅産業においても、高気密・高断熱の性能重視の建築や、太陽光などの自然エネルギー推進の動きが、より一層盛んになってきました。

もちろん、そういった最新技術を利用することも大切ですが、私たちの身近には「樹々」という素晴らしいものがあります。季節や時間帯によって見え方も変わり、枝葉が揺れれば風を感じ、葉音が聞こえる。木漏れ日ができれば光を感じ、五感に刺激を与え、心豊かにしてくれます。 樹々は、上手に使うことで、住環境を改善する力を発揮してくれます。夏場の暑い日射しを遮ったり、涼しい風を運んできたり、熱環境にも対応できる力も持っています。これからの日本の住まいにとって、樹々の力を生かし、庭と家が調和した暮らしを実現することは、とても価値のあることではないでしょうか。

庭と建築が調和した、「未来の暮らし」を見つめて

今回の庭は、「未来の暮らし」を考えながら作った庭です。これからは、庭を鑑賞物や建物の付属品として考えるのではなく、住環境を改善するものとして捉えてほしい、という想いを込めました。浜名湖花博2014での「雑木の庭と共に暮らす」を通して、庭と建築が調和し、外回りから考える住空間の素晴らしさを、より多くの方に伝えることができれば幸いです。

プランニングのポイント

樹々の持つ自然の力を生かし、庭と建築が調和する住空間をカタチにした「雑木の庭と共に暮らす」。そのプランニングにおいては、五感で感じる心地よさの実現と、自然のサイクルを考慮した、快適な暮らしのための工夫を盛り込みました。

建物の付帯として庭を考えるのではなく、庭と建築が調和するような住環境を外回りから考えています。高木の下に階層的に中低木を配置することで、お互いを守り合うように木陰をつくり、庭全体がすこやかに成長します。

涼風を夏場に生むためにもひと工夫。北面と南面の木陰の温度差により、室内に心地良い涼風が流れます。落ち葉や枯れ草をためておくと、やがて堆肥になります。堆肥化して土に返し、畑で利用する循環が生まれます。

心地は五感で感じるもの。枝葉が揺れれば風を感じ、花が咲けば四季を感じる住環境を演出します。費用はアイデアと素材選びで抑えることも。高低差を活かした造園的手法で、ブロックによる土留めを必要としません。自然環境に近づけることで、雑木の庭に一体感が生まれるのです。